睡眠障害 (健康や社会生活にまで重大な支障をきたす恐れのある眠りの病気を紹介します。)
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睡眠時無呼吸症候群


 「がぁがぁああああ!」という怪獣のうなり声のような大いびきをかき、
 夜中に何度も目が覚めてしまう方、ご家族にいらっしゃいませんか?
 ちゃんと眠っているハズなのに、昼間にとてつもない眠気に襲われている方、いらっしゃいませんか?
 心当たりの方は、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。

 「睡眠時無呼吸症候群」は、睡眠中に呼吸ができなくなってしまう病気です。

 なにそれ? 関係ないや。 と思われた方、危険です。
 実は、睡眠時無呼吸症候群は、25〜50人に1人は認められるありふれた病気なのです。
 でも本人には眠気くらいしか自覚症状が現れないため、見過ごされやすいのですね。
 眠気が病気のシグナルだとは、知識が無ければ夢にも思わないでしょう。

 人間の喉の筋肉は進化の副産物として、眠っているときにたるんで下に落ちやすくなっています。
 これによって気道がふさがれてしまい呼吸困難になってしまうのです。

 空気が肺に入ってこないと、酸素を取り込もうと息を吸い込む激しい呼吸運動が起きます。
 この時、狭くなった気道の壁が振動するので、破壊的にうるさい「いびき」が起こるのですね。

 しかも、人間は肺への空気の流れが止められても、寝ている間にそれを回復できるようにできていません。
 そのためひどいときには40〜60秒間も肺に空気が入らなくなってしまいます。
 1分も近くも呼吸を止めていたら、血中の酸素濃度が減って、脳は酸素をくれと暴れ出します。
 酸素が補給されないと、冗談抜きで死ぬからです(汗)。
 すると、目が一時的に覚めて、喉や舌の筋肉が緊張して空気が入ってくるようになります。

 しかし、本人は目が覚めたことを自覚することなく、再び寝てしまいます。
 これによって「呼吸停止→再開→呼吸停止→再開」という恐怖のサイクルが、朝まで延々と続くのです。
 一晩に無呼吸状態が、多い人では数百回も繰り返されます。
 しかも恐ろしいことに、寝ている間だのことですから、患者本人は、
 自分の呼吸が止まっていることを自覚できないのです。

 こんな死と隣り合わせの状況を毎晩繰り返していて、体調が悪くならないハズがありません。

 必然的に眠りが浅くなるため、いくら眠っても疲れが取れず、昼間に猛烈な睡魔に襲われます。
 睡眠時無呼吸症候群が原因での交通事故などが、実際に何件も起こっています。

 それだけでなく、無呼吸の頻度が高いと、あきらかに寿命を縮めることがわかっています。

 1992年、アメリカの睡眠障害研究に対する委員会がアメリカ議会に提出した報告書では、
 脳卒中や心臓発作の年間死亡者数のうち38000件は、睡眠時無呼吸症候群が原因だと指摘しています。
 睡眠時無呼吸症候群は心臓に負担をかけ高血圧の原因にもなるのです。
 
 この病気には、主に中年の肥満男性がなりやすいです。
 太りすぎによって首に脂肪が付くと、気道が狭くなるからです。
 その他にも、もともと気道が細いという生まれつきの理由や、
 脂肪扁桃腺やリンパ線が腫れているときも、睡眠時無呼吸になりやすいです。

 いずれにしても、病院で受診すれば治療できる病気ですから、
 日中にいつも強い眠気に襲われたり、爆音級のいびきをしていると指摘されたら、
 念のため病院で受診された方が良いでしょう。

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睡眠時無呼吸にうつぶせ寝が効果的


 「睡眠時無呼吸症候群」は、あお向け(仰臥位)で寝たときに舌根が落ちることによって気道がふさがり、
 呼吸がしにくくなることによって生じるケース(閉塞性睡眠時無呼吸・OSAS)が大半を占めます。
 そのもっとも有効な治療法であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、
 顔面にシュノーケルのような鼻マスクを装着しなければならないため、二の足を踏む人が多いのが現状です。
 鼻が閉塞していたり、閉所恐怖症で顔に装置をつけることに耐えられない、といった人には向きません。

 そんな「睡眠時無呼吸症候群」の方に「うつぶせ寝」が効果的であることがわかりました。

 豊橋メイツクリニック睡眠医療センター・小池茂文氏らは、東京で開かれた日本睡眠学会で、
 CPAPやほかの治療法に比べれば効果は少ないものの、

 睡眠時の無呼吸低呼吸が35%減少する効果が得られたと発表しました。

 研究対象は、OSAS患者16例と健常者18例の計34例(男性33例、女性1例、平均年齢45.8歳)。
 平均BMI(肥満指数)は24.9でした(睡眠時無呼吸症候群は肥満の人に多いのが特徴)。
 参加者には長時間のうつぶせ寝をしやすくするため、
 フランスベッド・メディカルサービスが開発したうつぶせ寝専用フランスベッドで寝てもらい、
 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)で得られた各睡眠指標を評価しました。

 その結果、無呼吸低呼吸の指数(AHI)は、あお向け寝時の平均34.1からうつぶせ寝時には21.9と35.7%低下し、
 有意な改善が認められることが分かったのです。
 中等度〜重症のOSAS患者23例に限っても、35.0%と有意な減少が認められました。

 うつぶせで寝ると息苦しいようなイメージがありますが、実際には、
 あお向け寝とうつぶせ寝による寝苦しさや睡眠深度には差はありませんでした。

 ただし、乳幼児や自分で寝返りをうったり体位変換ができない人は、うつぶせ寝をしてはいけません。
 またうつぶせ寝によるAHI減少効果には個人差が大きいのが特徴です。


 小池氏らは、「無呼吸の疑いのある人は必ず検査を受けて治療をすべきで、
 うつぶせ寝をすべての治療や検査に優先して用いるべきではない。
 ただ、ほかの治療法を行えない患者には、有効な治療法となる可能性がある」と話しています。


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ナルコレプシー


 あるパーティ会場での話です。
 談笑していたドレス姿の若い女性が、おもしろいジョークを聞いた途端、突如、床にバタンと倒れてしまいました。
 彼女の手にしていたグラスは割れ、中身が盛大にぶちまけられます。
 パーティに参加していた人たちは、何事かと大慌て……

 仕事でミスをして上司に叱られている男性がいます。
 彼は「すみません。すみません」と、ぺこぺこ謝っていたのですが、途中から沈黙してしまいます。
 おかしいなと思った上司が、彼の顔を覗き込んでみると、なんと彼は立ったまま眠っていました……

 これは第三者の目からは単なる笑い話ですよね(笑)。
 でも、当事者にとってはそうではありません。
 女性の場合も、男性の場合も人間関係に確実にヒビが入ってしまうでしょう。
 これは単なる作り話ではなく、「ナルコレプシー」という睡眠障害になった人に実際に起こりうる話です。

 ナルコプレーは俗に「居眠り病」とも呼ばれます。不眠症ではなく、いつでもどこでも眠くなってしまう過眠症です。

 ナルコレプシーには3つの症状があります。
 持続的な眠気の「睡眠発作」
 笑ったり驚いたり喜んだりといった、強い感情によって引き起こされる「情動性脱力発作」
 寝入りの際にリアリティのある幻覚が現れる「入眠幻覚」です。

 特に深刻なのが、睡眠発作ですね。
 夜しっかり眠ったのにも関わらず、昼間になると耐えられない眠気が襲ってきて、
 いつでもどこでも眠ってしまうのです。
 会議中だろうと、車の運転中だろうと、恋人との食事中だろうと、
 商談の最中だろうと、お構いなしに眠くなり、そのまま眠ってしまいます。
 さきほどのエピソードに出てきた男性のように、
 上司に叱られている最中に睡眠発作がやってくるような事態が実際に起こってしまうのです。
 周りの人には、単に怠けているだけにしか見えないのが、この睡眠発作の恐ろしいところです。
 人間関係が壊され、まともな社会生活ができなくなります。

 ただ、眠くなった時に10分〜20分ほど仮眠を取ると、気分がさっぱりして眠気が取れます。
 それでも、人によっては2〜3時間するとまた眠気に襲われるので、
 ナルコレプシーの人に対しては、周囲の理解と協力が必要になります。

 また、最初のエピソードに出てきた女性のように、笑ったり驚いたりした拍子に、情動性脱力発作がやってきます。
 これは数秒から数分間、筋肉が麻痺して動けなくなる症状です。
 本人は意識がハッキリしていて、見たり聞いたりといったことはできます。
 ただ動けなくなり、言葉も満足に話せなくなるのです。
 発作が終われば、すぐに何事もなかったように回復します。

 さらに、ナルコレプシーになると入眠幻覚を見るようになります。
 これは本来、眠ってから2時間後くらいに現れるはずのレム睡眠が眠った直後に起こるからです。
 レム睡眠は身体を休める眠りで、脳は起きているときと同じように活動しています。
 この時、人は「夢」を見るのです。

 ナルコレプシーによって、いきなり現実世界から夢の世界に入ると、
 夢と現実の区別が付かず、実際に起こっていることのように本人には感じられます。
 この時に見る幻覚は不安や情動を伴うものが多く、誰かが身体の上にのしかかってきたり、
 首を絞められたり、火事にあって火傷をしたり、バスタブで溺れそうになったりします。
 心霊現象や、宇宙人に寝ている間にさらわれて人体実験されたなどといった超常体験も、
 この入眠幻覚であることが多いです。

 ナルコレプシーは一般的に、児童期の後半から思春期にかけて始まります。
 ただ、それ以外の年代なら安心というわけではありません。

 思春期の頃が一番多いのですが、年齢に関係なく発症します。

 症状として最初に現れるのは昼間の耐え難い眠気です。
 脱力発作は、それより2〜3年ほど遅れてやってきます。
 ナルコレプシーは2000人の1人の割合で発症します。気づかないだけで案外、身近にある病気です。

 根本的な治療法は発見されておらず、患者は、一生薬によって症状を抑えるしかありません。
 かなり怖い病気なのです。

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